バイオテロを見習え

「…ちなみに、〇〇〇さん(部門の上司)は去年インフルエンザがかかっても出社したよ。…」
『それはダメでしょう。伝染病を社内に撒き散らす行為はよろしくないと思います。』
「これはあくまでこの場の話し、キミは同じことを理事長にも言えるか?」
『言えます。むしろこれは責任者だからこそ徹するべきことではないでしょうか?』
「…『郷に入れば郷に従え』とは強要しないが、キミはこれから日本で仕事するので、もう少し団体意識を持った方がいいかもね。これは大人的な考え方。…」

 

 以上はブラック企業に彷彿する入社10年以上の社員の赤裸々な発言だった。
 別に日本で一生仕事するつもりがないから、不毛な議論になる前に話すことをやめた。(加えて、矛盾だらけの発言で討論する行為も気持ち悪く感じた。)

 正直、私はワークホリック(日本人)はよく見かけるが、どうせ勝手に過労死するから自分と関係ないと思って接していた。だが、インフルエンザのような致死性を持つ伝染病は根本的に違った。職場に病原を故意に持ち込み、私の健康を脅かす行為は許しがたいことだった。

 私もかれこれ8年日本に生活・勉強・仕事をしていた。「なぜ日本が『GAFA』のような企業が生まれなかった」のような「煽り」と捉えられた文章に書かれた通り、多くの日本の会社の考え方はすでに時代遅れだった。
 致命的な問題は「時代遅れ」そのものではなく「時代遅れに誇りを感じる」ことだった。

 …と、分析をいくらでも書けるが、早くも3年以内に日本から離れる予定になる私にとっては、これ以上に日本人を分析しても面白い結論を出せることができなかった。どうぞ勝手に時代遅れしてくれ、ただ、私を巻き込まないで欲しかった。